2009年度のAFVの会は12月27日に下北沢の北沢タウンホールで開催されました。「年末だからあまり人が来ないのでは…コミケも控えているし…」と少々心配でしたが、案に相違して多数の方が参加して下さり、机が足りなくなるほどの盛況でした。
今回はタミヤの箱絵でおなじみの大西将美画伯をゲストにお招きして、サイン会＆十川俊一郎氏とのトークライブを行いました。プロならではの色彩に関する専門的な解説、また業界の「ここだけの話」など興味深い話題を色々とうかがうことができました。
さて各部門について簡単におさらいしますと…
大賞 中野裕也氏 The watch 1/6スクラッチSd.kfz.222
中野氏は昨年のM8に続いてV2です。内部までみっちり具が詰まっているのがお分かりでしょうか。
課題
1位 佐藤 俊氏 レスキューウイング
2位 井上 司氏 ACHTUNG
3位 十川 俊一郎氏 水物
本年度のテーマは『水』。ということで水陸両用車あり海のディオラマあり、はたまた水を張った桶でタイヤの空気漏れを調べる兵隊さんありと、バラエティに富んでいました。一位はAFVではありませんが、この美しさなら誰しも納得でしょう。
単品
1位 渡邊 祥弘氏 1/25 T-34/85
2位 熱田 光弘氏 エレファント
3位 島田 浩司氏 M4A3E8中戦車自衛隊仕様
ともすれば間延びしがちな単色塗装を美しく仕上げた作品が入賞です。一位のT-34はタミヤの旧キットですが、こうして見ると古さを感じさせません。
ジオラマ
1位 高野 博氏 リラクデット
2位 高野 浩氏 泥の水
3位 宮国 一志氏 UNDER THE TUSCAN SUN
三位は金子辰也氏の名作『BAIT』へのオマージュ、二位は東部戦線の重い空気を切り取った作品。そしてイラク戦争について考えさせられる作品が一位となりました。入賞しなかった作品にも魅力的なものが多く、特にガンダムのシャドーボックスは注目の的でした。残念ながら写真撮影がうまく行きませんでしたが、これは来場した人だけのお楽しみという事でご容赦ください（笑）
ガレージキット
1位 大橋 祐樹氏 シュコダRSO
2位 岡村 哲也氏 IV号傾斜装甲クルップ型
3位 五味 馨氏 セモベンテ アンンサルドde90/53
組み立てるだけでも大変な部門ですが、入賞作はいずれも塗装やウェザリングまで含めた高い完成度が光っていました。
フィギュア
1位 高栄 正樹氏 ドイツ空軍補助婦チーム
2位 小野山 康弘氏 神々のおわす山稜
3位 林 伸秦氏 砂漠の木陰
この部門は「小さく切り詰めたスペースに最小限の登場人物」というのが一般的ですが、群像の面白さを強調したディオラマが一位を獲得しました。作者の高栄氏は七年連続のタイトルホルダーです。
スクラッチ
1位 小沢 宏樹氏 サンシャモン突撃戦車
2位 浅香 弘司氏 オブイェークト279
3位 長谷川 雄介氏 スルダップ軍3輪装甲車
さすがに数こそ少ないものの、ユニークな題材とハイレベルな工作に舌を巻く作品ばかりです。特に一位のシュナイダーは塗装の美しさでも際立っていました。三位の装甲オート三輪は『馬車馬戦記』（速水螺旋人）に登場する架空のメカですが、二位のソ連戦車はレッキとした実在の車両です。
ヒストリカル
1位 高見 敬一郎氏 チャリオティア
2位 宮本 拓氏 レベル1/40 M48ALBLシザーズブリッジ
3位 三木 弘治氏 青島スカイネットシリーズ第三弾3突G
懐かしキットの完成形を見られるこの部門も年々エントリーが増えてきました。一位のチャリオティアは40年前の製品だとか。
そして今回も雑誌および専門店の方々からの協賛をいただいて以下の各賞が選ばれました。
パンツァーグラフ！賞
90式の急ブレーキの瞬間がダイナミックな、森本 賢氏 止まれ！撃て！
マスターモデラーズ賞
路面の赤とクロムウェルの緑のコントラストが印象的な、斉藤 潤氏 晩秋の街角
アーマーモデリング賞
フェアリー企画の難物・ビッカースクロスレイを見事に仕上げた、中村 学氏 第一次上海事変
仙波堂賞
単色塗装のトーンを部分ごとに微妙に変えて表情を出している、デッカーマックス氏 5式中戦車
グラネデアモデル賞
鮮やかな色彩が目を引く、NPG氏 アナザーロンリークリスマス
授賞式では入賞した皆さんからの一言を頂くのですが、対象への思い入れを熱く語る人や、苦心した点を訥々と説明する人など、作品と同様に作者の個性も様々です。
閉会式で発表された次回2010年度の課題は『昭和の風景』です。ぜひ皆様の脳裏にある“昭和”をご披露ください。また各種賞品のご提供も有難くお受けしております（笑）
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